わんぱくクリニック
診察日
※毎月第1・第3土曜日午後 予約制 発達専門外来
※毎月第2・第4土曜日午後 予約制(予防接種・健診)
●休診日 日曜・祝祭日・土曜午後
診療時間 9:00~12:00 一般診療
13:00~14:00 予防接種
14:30~18:00一般診療
小児科 アレルギー性疾患
気管支喘息 アトピー性皮膚炎
小児の感染症一般
子供によく見られる病気・症状
子どもによく見られる症状
1. 発熱
① 発熱の意義
体内に侵入した細菌やウイルスに対して、体の免疫細胞が発熱物質を放出して戦っているのです。 だから、む やみに熱さまし(解熱剤)を使うのは逆効果!
②解熱剤を使う意義
高熱が長く続くと体力を消耗し、食欲低下・水分摂取不良となり、体の抵抗力も低下します。特に水分を十分に摂取していないと、免疫抵抗力も十分に発揮できません。水分摂取不良を放っておくと、1歳前後の乳幼児では熱性けいれんを起こすことがあり、6ヵ月未満だと肺炎や髄膜炎・敗血症といったより重篤な合併症を引き起こすこともあります。
だから熱さまし(解熱剤)は必要に応じてタイミングよく使うことが大事です。使いすぎはいけませんが、子供が高熱でぐったりしていたり、不機嫌が強いのに全く使わないと、点滴になったりひいては合併症で入院になることもあります。
③ 解熱剤を使うタイミング
体温が38.5度を目安にしましょう。但し38.5度なったらすぐに使うのではなく、あくまでも目安です。38.0度でもぐったりしていたり、不機嫌な時は使ってかまいません。逆に元気なら水分補給やおしぼりで体を拭いて熱が下がるか様子を見てもかまいません。(但し、水分が十分摂れていない時は、積極的に使って下さい)
2. 咳
咳は、異物や分泌物を気道内から排除する防御反応の症状です。風邪(ウイルスや細菌)の炎症で気道が過敏に
なり、分泌される痰が刺激になって、咳が起こると考えられます。
原因の疾患や炎症部位(鼻咽頭・喉頭・気管支・肺)により、咳の種類が異なります。病気の時期により、最初は鼻咽頭症状(コンコン~ゴホンゴホン)、喉頭や喉頭蓋の炎症に移ると犬やオットセイの鳴き声(ケンケン)のような咳、下気道(気管支~肺)に移ると喘鳴(ヒューヒュー・ゼーゼー)や痰を強制的に出そうとして咳き込み嘔吐する事もあります。このように、咳は基本的には防御反応なので、無理に止めると痰詰まりを起こして、呼吸困難や窒息に至ることもあります。市販の咳止めには強力なものがありますので、病院で診察を受けて、病状にあったお薬の服用をお勧めします。
3. 鼻水
鼻水も、鼻腔内に侵入したウイルスや細菌を排除する、防御反応の一つです。風邪(ウイルスや細菌)の炎症で鼻腔粘膜が過敏になり、鼻汁を分泌してウイルスや菌を排除しようとします。
鼻汁分泌が多すぎると鼻閉を伴い呼吸が出来ず、食事や水分が十分摂れない・夜間の睡眠不足などが出てきます。そんなときは抗アレルギー剤を使用することも多いのですが、分泌液が粘調となり鼻閉の悪化や喀痰の排出困難がみられる事もありますので、注意が必要です。
4. 喘鳴
ゼーゼー、ヒューヒューという呼吸を「喘鳴(ぜんめい)」と呼びます。気管支の壁が炎症で厚くなり、喘息発作で気管支内がギューッと狭くなると、息を吐くときの空気の音が、笛のようにゼーゼー・ヒューヒューという音として聞こえます。
RSウイルス細気管支炎、ヒトメタニューモウイルス感染症、気管支喘息などでみられます。ゼーゼー、ヒューヒューが聞こえたら、乳幼児では呼吸困難の症状に繋がることもあるので、早めの小児科受診をお勧めします。
5. 呼吸苦・努力呼吸・呼吸困難
・呼吸の回数が多い(乳児で50回、幼児で40回以上が多呼吸の診断の目安)
・呼吸の仕方がおかしい
シーソー呼吸:息を吸うときに胸がくぼみ、お腹が膨らむ。
陥没呼吸:鎖骨の上部、肋骨の一番下の部分が呼吸に伴ってペコペコとへこむ。
鼻翼呼吸:息を吸うときに鼻の穴がピクピクと開く。
これらの症状を認めたら、すぐに病院へ受診して下さい。
6. 便秘
便秘の目安は週に3回以上の自力排便がない事を指しますが、ウサギのようなコロコロ便や、排便時にかなりいきんで出す、おなかが張って痛みがありトイレで踏ん張ってもなかなか出ない、排便時に肛門が切れて出血する等があれば、便秘が疑われます。
排便の仕組みは、腸のぜんどう運動によってウンチが直腸へ移動し、直腸の壁を押し広げて刺激することで便意をもよおします。この時連動して肛門が広がり、ウンチを押し出します。乳幼児はこの一連の排便運動機能の連 動が未熟で、便意をもよおしても肛門がギュッと締まり、スムーズにウンチを押し出すことが出来ないのです。乳幼児は夏場にたくさん汗をかくため体内の水分が減少し、便が固くなることも原因の一つと考えられます。浣腸が癖になるのでは?」と心配する保護者の方もいますが、その心配はありません。むしろ、便が固いと、ウンチをふんばった時に肛門が切れて、少し血が出たりします。
一度切れると、便を出そうとするたびに痛い思いをするので、余計にウンチをしたがらずに、便秘がどんどん悪化してしまうかもしれません。まずは
① 食事(食物繊維の多いものや和食中心)や水分を十分に摂り、
② 規則正しい生活で睡眠と運動時間をしっかり確保することです。
3日以上便が出ずに、おなかが張って「う~ん・う~ん」言いながら、20~30分便が出ないまたはおなかを痛がるようなら、小児科で相談してください。
7. 下痢
子どもの下痢の原因は、腸内にウイルスや細菌などの感染により生じた毒素やウイルス・菌などを、体外へ速やかに排出するために起こります。それ以外にも、アレ
ルギー、冷たいものや消化の悪いものをとり過ぎた場合や、ストレス、疲労、冷えなどによって起こることもあります。下痢は排出を促すために腸が収縮して痛みを 起こします。
《下痢の重要チェックポイント》
① 発熱
②不機嫌/夜間やお昼寝時に普段通りぐっすり寝てくれない
③ 元気がない/だるそう/ぐったりしている
④おしっこの色が濃い/おしっこが出ない
⑤食事や水分摂取を嫌がる
⑥ 口唇の色が悪い/手背の血管が普段通りに見えない
⑦ 下痢が続く(水様便が3日続く、軟便が5日続く)
⑧ 血便が出る/便に強い異臭がある
*これらの症状が見られたら、早めに小児科でご相談ください。
《下痢の原因分類》
① ウイルス性胃腸炎(ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス・・・他)
② 細菌性腸炎(大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、ビブリオ菌、ブドウ球菌)
③ 自律神経の影響(ストレス、身体の疲労、おなかの冷え:発表会やテスト前の緊張、厳しいしつけや友達のいじめなどの対人関係、冷やしものの過剰摂取)
④体質的要因の下痢(乳糖不耐症や乳脂肪の吸収不良)
⑤ 食物アレルギー(下痢より嘔吐を起こす事が多いようです)
《下痢のとき、お勧めの食べ物・飲み物》
① 水分補給経口補水液
子ども用のイオン飲料・だし汁・みそ汁の上澄み・野菜スープ
② 糖分補給
おかゆ・パン・うどん・りんごのすりおろし・つぶしバナナ・甘さ控えめゼリー煮込んだジャガイモやカボチャ
③ タンパク質補給
豆腐・白身魚・鶏のささみ・加熱卵
④ 乳糖以外のミルク
無乳糖ミルク(ノンラクト/ラクトレス)・大豆ミルク(ボンラクト)
8.血便
子どもの血便で、下痢に伴う血便は細菌性腸炎の事が多いです。ウイルス性腸炎では出血は少なく、ひどいオムツかぶれで肛門周囲の皮膚や粘膜が剥げ落ちた際に、オムツにつくような軽度の出血を認めることがあります。下痢を伴わない場合は、便秘で肛門が切れた際にみられる事もあります。極めて希ですが、大腸ポリープやクローン病・潰瘍性大腸炎などもあるので、血便が数回続いたらかかりつけ医から専門医療機関への紹介が望ましいです。
《血便の原因》
① 感染性胃腸炎(主に細菌性)大腸菌、サルモネラ菌、カンピロバクター、ビブリオ菌、ブドウ球菌
② 肛門裂傷:排便時に肛門が切れて出血する、こどもの血便で一番頻度の高い
③ 若年性ポリープ(大腸の良性ポリープ)・胃十二指腸潰瘍(ピロリ菌が原因のことも)
④ 炎症性腸疾患潰瘍性大腸炎・クローン病など、中学生くらいによく見られ、血便・下痢・腹痛で発症します。難病のひとつに指定されており専門的な治療が必要な疾患です。
⑤ IgA血管炎(血管性紫斑病、アレルギー性紫斑病)下腿や臀部の紫斑・点状出血を認め、IgA腎症、下肢関節炎も多い。消化器症状も高頻度で、腹痛、悪心、吐下血を認め、腸重積に至ることもある。
⑥ メッケル憩室小腸の壁が袋状になって外側に突き出たもので、約2%の乳児に、生まれつきメッケル憩室があります。一生無症状のことが多いですが、希に合併症(出血・腸閉塞・憩室炎・穿孔・腫瘍)で重篤になる事もあります。
*こどもの血便・下血の原因はさまざまで、小児の血便が見られるときは、早めの診察・検査をお勧めします。
9.嘔吐
赤ちゃんや子どもは胃腸の働きが未熟なので、ちょっとした刺激によって嘔吐することがしばしばあります。赤ちゃんの胃腸は特に敏感で、激しい咳、大泣き、食べ過ぎ、緊張などのストレスがきっかけになって嘔吐することがあります。頻度が高い嘔吐ですが、重篤な症状を起こす前にできるだけ早く医療機関の受診が必要な場合もあります。
《注意するポイント》
吐いた後、機嫌がよく、元気な様子でしたら経過を観察しても大丈夫です。ただし嘔吐は下痢より脱水症状を起こしやすく、こまめな水分補給を心がける必要があります。嘔吐は、髄膜炎、腸重積、腸閉塞で起こる場合があり、頭を強打した際の脳損傷によって生じることもあります。冷静に観察して危険な兆候がないかをしっかり確認してください。頭部打撲後に吐き気や嘔吐を認めたら、一刻も早く医療機関への受診が必要です。
《嘔吐があってすぐに受診が必要な場合のチェックポイント》
• 水分を飲ませるとすぐ嘔吐/噴水様に吐く
• お腹が張っている/強いお腹の痛み/頻回下痢が半日以上続く
• 吐物に血液が混じる/黄緑色の液体(胆汁)を吐いた
• 元気がない/呼びかけても反応が鈍い
• おしっこが出ない/汗が出ていない/唇が乾いてカサカサしている
• 不機嫌/頭痛を訴える/光や音の刺激に過敏な反応
10. 頭痛
《頭痛の種類と原因》
1 一次性頭痛(原因となる他の疾患がない頭痛)
・片頭痛(発作的・片側性・拍動性・中~重度の痛み・悪心/嘔吐・光刺激・家族歴)
・緊張型頭痛(非発作的・両側性・非拍動性・軽~中度の痛み・嘔気無し・非家族)
2 二次性頭痛
(なんらかの病気の症状として起こる頭痛)
乳幼児では「頭が痛い」と訴えることは希で、不機嫌・元気がない・グッタリする・普段見ないような大泣きをする等で推察します。感染症(インフルエンザ・新型コロナ・髄膜炎・脳炎)が原因の事が多く、副鼻腔炎、近視、虫歯等でみられます。
起立性調節障害、読書・ゲームでの眼精疲労や肩こりが原因となる頭痛もあります。
重篤なものでは、脳腫瘍・水頭症・慢性硬膜下血腫などが有り緊急対応が必要です。
《頭痛のチェックポイント》
*意識障害、けいれん、麻痺などの合併、発熱と頻回嘔吐、これまでにない激しい痛み5歳未満、頭部外傷、高血圧など認めたら、早急に専門医療機関受診をお勧めします。
11. けいれん
《けいれんの年齢毎の特徴》
小児では一時的、発作的な全身性の痙攣(けいれん)で、高熱などの際にみられる。
1 新生児期:出産に伴う低酸素性虚血性脳症、新生児仮死によるけいれんが多く、先天的な脳形態異常、血糖値やカルシウム値の低下、新生児期発症てんかんもあります。
2 乳児期(0~1歳):最も多いのが“熱性けいれん”で、生後6か月~5歳の乳幼児に起こる38℃以上の発熱を伴うけいれんです。この時期、大泣きしたときなどに息を吐いたまま呼吸が停止して顔色が悪くなり、けいれんを起こす“憤怒けいれん(泣き入りひきつけ)”や、先天代謝異常の症状としてけいれんが起こることもあります。細菌性髄膜炎が原因のともありますが、ワクチンの普及で頻度は減少しています。
3 幼児期(1~6歳):“熱性けいれん”や“憤怒けいれん”がみられますが、頻度は年齢を重ねる毎に減少します。この時期、無熱性のけいれんでは“てんかん発作”を認める事があり、熱中症による低ナトリウム血症や頭部外傷によるけいれんもみられます。
4 学童期(6~12歳):この時期、熱性けいれんは少なく、てんかんによるけいれんの割合が多くなります。
《けいれんの分類》
1 熱性けいれん
生後6か月~5歳の乳幼児に起こる38℃以上の発熱に伴うけいれんで、発熱の原因が髄膜炎によるものは除外されます。日本人は発症率が高く、約7%に起こるといわれています。風邪などで体温が上昇する際に急に意識がなくなり、白目をむき全身のけぞるように硬直させたり、手足をガクガク震わせて顔色が蒼白~紫色になるけいれんを認めます。ほとんどのケースでは5分以内に自然に止まり、後遺症の心配もほとんどありません。
2 憤怒けいれん
憤怒けいれんは、大泣きしている時に息を吐き続けて顔が紫色になり、呼吸停止状態になって起こるけいれんです。驚いたりかんしゃくがきっかけで起こり、しばらくすると回復します。息止めが長い時には、正面からギュッと抱きしめると息継ぎをして呼吸停止が治まり、けいれんにまで至らないこともあります。生後6か月から2~3歳の乳幼児の4~5%にみられます。
3 てんかん
てんかんは脳神経細胞が過剰興奮し、意識障害やけいれんなど発作が引き起こされる病気です。日本では約100人に1人、てんかんをもつ人がおります。
4 失神
失神は脳血流の低下により脳の酸素不足が生じる、一過性の意識消失発作です。起立性調節障害で発症し、小学校高学年から中学校の女子に多く認められます。急に立ち上がったときや排尿時、採血後などに、めまいや脱力感、発汗や頻脈、顔面蒼白、目の前が暗くなる、などの症状とともに意識を失います。失神に伴い、けいれんを起こすこともあります。
この他に、心原性失神:不整脈(洞不全症候群、心室性頻脈、QT延長症候群など)、器質性心疾患(心筋梗塞、肥大性心筋症、大動脈弁狭窄など)があります。 *けいれんの多くは、3〜4分で自然に止まりますが、長時間持続する(5分以上)、続けて2回のけいれんを繰り返し、1回目と2回目の間の意識が十分に戻らない“けいれん重積状態(てんかん重積状態)”は、すぐに救急車で医療機関を受診しましょう。
12. こどもの発疹
1 脂漏性湿疹:頭皮に付着する皮脂、生後6ヶ月までに自然脱落する。
2 乳児湿疹:保湿とステロイド塗布。
3 オムツ皮膚炎:軟便の回数が多く、陰股部のカブレ。ステロイド軟膏治療。
4 アトピー性皮膚炎:ステロイドで炎症を止め、その後は保湿軟膏で保湿する。
5 虫刺性皮膚炎:ステロイド塗布とかゆみ止め内服。
6 カンジダ皮膚炎:カンジダ菌による炎症。抗真菌剤塗布。
7 伝染性膿痂疹(とびひ):抗生剤軟膏塗布、強い症状には抗生剤内服。
8 せつ・よう(おでき):抗生剤内服、穿刺排膿、抗生剤軟膏塗布。
9 蜂窩織炎:抗生剤内服、強い症状には抗生剤注射(入院治療)、抗生剤軟膏塗布。
10 伝染性軟属腫(水イボ):自然治癒、拡散したらピンセット摘除
11 手足口病:手掌・足底・両肘・両膝・陰股部・臀部・肛門周囲の水疱。自然治癒。
12 水痘:頭部・頚部・腋窩・体幹・陰股部・肛門周囲の水疱。抗ウイルス剤内服。
13 突発性発疹:解熱後発疹出現。解熱後2~3日で自然消退。
14 じんま疹
子どもによく見られる病気
1.風邪
かぜとは、ウイルスや細菌など病原体によって引き起こされる上気道(鼻や喉)の炎症による一連の症状の総称です。主な症状は鼻症状(鼻水、鼻づまり)や喉の痛みで、発熱、頭痛、全身の倦怠感に加え、炎症が下気道(気管、気管支、肺)にまで広がることで咳や痰などが見られるようになります。侵入するウイルスや細菌で症状は異なり、治療法も対症療法が中心ですが、細菌やウイルスによっては特効薬があります。
2.蕁麻疹
食べ物のほか細菌やウイルスなどによる感染症、抗生物質や造影剤、解熱鎮痛薬など の薬剤、ラテックスゴムや汗、寒冷刺激、温熱刺激、日光などの刺激でアレルギー反応を起こして、痒みを伴う膨隆疹が出現します。抗ヒスタミン薬や副腎皮質ステロイド薬の内服と、かゆみ止め軟膏で治療します。
3.とびひ(伝染性膿痂疹)
虫刺されやアトピー性皮膚炎のかき傷から、黄色ブドウ球菌や溶血性連鎖球菌などの細菌が皮下に侵入し、発症します。抗生剤軟膏塗布、強い症状には抗生剤内服が効果的。
4.突発性発疹
突発性発疹は、ヒトヘルペスウイルスの感染症です。突然高熱で発症し、高熱は3日ほどで自然消退し、その後顔と体幹を中心に小さな紅斑が出現します。紅斑は3日ほどで消退しますが、下痢や中耳炎を合併する事があります。治療は対症療法のみです。
5.感染性胃腸炎
感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌が原因で引き起こされる胃腸の病気の総称です。突然の嘔吐・下痢・腹痛や発熱などの症状を起こします。水分補給と食事療法・整腸剤(ビフィズス菌・乳酸菌)が中心です。ミルク中心の乳児には、無乳糖ミルクをお勧めします。
6.手足口病
手のひらや足の裏、口の中に小さな水ぶくれ(水疱)を発症する病気です。コクサッキーウイルスA・Bやエンテロウイルスに感染することによって発症する感染症で、原因ウイルスが複数あるため再発することも多々あります。多くは1週間以内で自然に軽快しますが、希に脳炎など重篤な合併症を引き起こすこともあり、注意が必要です。
7.ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、発熱と口腔粘膜にあらわれる水疱疹を有した急性のウイルス性咽頭炎で、乳幼児を中心に夏季に流行します。(原因は主にコクサッキーウイルスA群)高熱、強い咽頭痛が出現し、主として軟口蓋から口蓋弓にかけて周囲が赤くなった水膨れ(小水疱)がみられます。疼痛のため不機嫌、拒食、哺乳障害、脱水症で輸液することもありますが、ほとんどは予後良好です。特異的治療法はなく、通常は対症療法です。
8.溶連菌感染症
溶血性連鎖球菌と呼ばれる細菌による感染症で、のどから感染して、咽頭や扁桃の炎症を引き起こします。症状は、「発熱(38〜39℃)」と「強いのどの痛み」「頭痛」です。吐き気・嘔吐や腹痛を訴える子もいます。体幹~下腹部や手掌・足底に痒みを伴う小さな紅斑が出たり、舌にブツブツができると「イチゴ舌」と言います。皮膚症状では、全身に細かな点状発赤が広がる「猩紅熱」や、皮膚の浅い部分の炎症「丹毒」、皮膚の深部「蜂窩織炎」などがみられ、入院治療を要することもあります。重症化すると壊死性溶連菌感染症や敗血症・髄膜炎といった全身感染症となり、さらには急激に呼吸循環不全に陥る危険性の高い『劇症型溶連菌感染症と』という重篤な病態(多臓器不全)に至ることもあります。適切な抗菌薬を服用すると、翌日には解熱して頭痛や気分不良も軽快し、元気になります。解熱してすぐに抗菌薬を中止すると再発することが多く、抗菌薬は原則として7〜10日間飲み続けることになっております。再発を繰り返す患者さんには、ときに、リウマチ熱から心臓弁膜症や、急性糸球体腎炎といった続発症(合併症)につながることもあります。登園・登校の目安では、『適切な抗菌薬による治療開始後24時間以内に感染力はなくなるため、それ以降、登校(園)は可能である。』となっています。
9.アデノウイルス感染症
アデノウイルスとは、呼吸器、目、腸、泌尿器などに感染症を起こす原因ウイルスです。夏場に流行する事が多く、いろいろな型があり、多彩な症状を呈します。1 呼吸器感染症:扁桃炎(アデノ3・7・21型)・重症肺炎(アデノ7型)高熱4~5日2 咽頭結膜熱(プール熱):高熱4~5日、咽頭炎・結膜炎1週間。対症療法のみ。3 流行性角結膜炎(はやり目):結膜炎症状は強い、高熱は少ない、(D種8・64・型)4 アデノウイルス胃腸炎:ひどい下痢、嘔気、嘔吐、腹痛。(アデノ31・40・41型)5 出血性膀胱炎:真っ赤な血尿頻回、血尿は10日ほどで改善。(アデノ11型)
10.喘息性気管支炎
喘息の様な音が聞こえる気管支炎で、ゼーゼー(喘鳴)といった呼吸音をします。ほとんどが感染症(RSV・ヒトメタニューモ・マイコプラズマなど)で引き起こされますが、中には本当の喘息の事もあります。特効薬はなく、対症療法のみです。
11.RSウイルス細気管支炎
RSウイルスは0~2歳までにほとんどの子どもがかかる、風邪の代表的なウイルスです。流行期は11~3月ですが、沖縄県では5~7月流行することもあります。2歳未満の乳時期~幼児期前半に感染すると、下気道感染症(細気管支炎~肺炎)に進行し、入院を要することも多いです。特に6ヶ月未満では重症化して、人工呼吸器管理に至ることもあります。2回・3回と何度も感染を繰り返しますが、年齢と共に鼻風邪などの軽い症状に変わっていくことが多いです。病気の経過は鼻水と微熱で始まることが多く、数日で咳や痰が絡み、高熱と共に喘鳴(ゼーゼー)を聴取し、1~2日で咳き込み嘔吐・肩呼吸・陥没呼吸など呼吸困難に至ることもあります。月齢が小さいほど重症化の進行が早いため、低酸素や呼吸不全を認めたら、早めに救急病院紹介の検討が必要と思われます。特効薬はなく、対症療法が中心なので、2歳未満の乳幼児にはインフルエンザより怖い病気といえるかもしれません。
12.ヒトメタニューモウイルス感染症
ヒトメタニューモウイルス(hMPV)はRSウイルスと病状が似ており、1~3歳の幼児にかかりやすく、1月~6月に流行します。RSウイルスのような喘鳴を認めますがやや軽症が多く、インフルエンザのように高熱ですが2~3日で解熱することが多いようです。但し肺炎を合併する事があり、その際には4~5日高熱で重篤になる事もあります。特効薬はなく、対症療法が中心です。 13. クループ性気管支炎(クループ症候群)クループとは疾患の名前ではなく、いろいろな感染症(パラインフルエンザウイルス・RSウイルス・ヒトメタニューモウイルス・ジフテリア・インフルエンザ桿菌など)によって引き起こされる特定の呼吸症状の総称で、喉頭気管気管支炎です。生後6ヵ月~3歳頃に多い呼吸器の感染症で、喉頭(声門周囲)の浮腫・腫れが起きることで症状が出現し、特徴的な咳(犬が吠えるようなケンケン咳、オットセイが鳴くような咳)がみられ、呼吸不全や窒息で重症化する事もあります。 14. マイコプラズマ肺炎 マイコプラズマ肺炎はウイルスと細菌の間にある病原体で、赤ちゃんにはあまり見られず、5~12歳の学童期に好発しますが、現在(令和6年度)幼児や低年齢児童の発病率が高くなっています。軽い咳と鼻水で始まり、引き続き発熱します。風邪の診断で治療をはじめる事が多いですが、次第に咳が強くなり、咳き込みで眠れず、嘔吐することもあります。一般的に強くしつこい咳の割には元気で、全身状態は比較的良いことが特徴です。子どもによっては39~40度の高熱が続く場合もありますが、入院に至ることは比較的少ないです。喘息様の喘鳴や肺炎様のラ音があまり聴取できない場合でも、高熱が続き咳もひどいためレントゲンを撮ってみると、明らかな肺炎像がしばしばみられます。潜伏期間は1~3週間と長く、家族内感染が終息するのに1ヶ月以上を要することもあります。 適切な抗菌薬を1週間以上しっかり服用すると、症状は速やかに治まる事が多いです。
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